黒潮にのってやってくるさかな(その1)


かつお
 南房総小型漁船の最重要魚種。
 春から秋まで房総沖で漁獲します。漁法は 曳縄竿釣り
 数ヶ月のかつお漁で1年の水揚げの大半を占めることもあります。
 早いときは2月から獲り始めますが、このころのカツオは脂があまりのってなくて、身の色はきれいな赤。いかにもカツオという味わいで、一足早い春を感じさせてくれます。
 伊豆諸島の周りで始まった漁場が、3,4月には房総沿岸にちかずいて、曳縄漁の最盛期。
 だいたい5月いっぱいで春の漁期は終わります。このころは餌持ち群が多くなって、さかなが居てもなかなか釣れなくなります。
 7月になると沿岸に居着いたカツオを竿釣りで狙う漁師もいます。鴨川では「盆の十六、寝た鰹起こす。」といって7月の新盆過くらいに竿釣りを始めます。
 そのあと年末までは、黒潮の流れ具合で大きな群が来たときに獲るくらい。夏場は脂のない群が多いですが、だんだんと脂がのった群(下り鰹?)が多くなってきます。

浜値(小湊) 
 キロ単価:初カツオは1000円以上しますが、県外の大型竿釣り船でどさっととれる6,7月は値が下がり500〜600円です。かつおの大きいものは1本10Kg、小さくても2Kgはあります。平均では2〜3Kg位ですから、安いときは1本1500円くらいです。

カツオのおろし方(漁師風)
刺身→→なめろう・まご茶・さんが焼き


かつおと一緒に獲れるさかな、かつおの仲間

そうだがつお

 マルソウダとヒラソウダの2種類があります。
 ヒラソウダを「宗太(そうだ)」、マルソウダを「まる」とか「まるかつお」と呼んだり、両方あわせて「こがつお」といったりします。
 春先に カツオ曳縄 で一緒にとれることもあります。沿岸によってくるので、定置に入ったり、岸からでも釣れます。
 大きさは、カツオに比べ小ぶりで、房州では、大きくても1Kg位です。
 ヒラソウダは秋口には脂がのり、500g以上の大きめのものは刺身がおいしいです。カツオというよりマグロに近い味。足が速いのであまり流通しませんが、スーパーで見かけたら是非賞味してみてください。
 マルソウダはカツオの風味を強くしたような味。ほとんど「なまり節」に加工されます。

簡単な見分け方
エラ蓋の上の黒い点が、ヒラソウダでは背中の黒い部分とつながっていない、マルソウダはつながっている。

浜値(鴨川)
 キロ単価:高いときは1000円以上しますが、平均では300円くらいです。


マルソーダ

ヒラソーダ

しいら
  カツオ曳縄 でいっしょに釣れる。曳きが強いので,釣り船の客は喜びますが、道具を取られたり、壊されたりするので漁師は喜びません。
 房州では「まんびき」とか「まんびー」と呼ぶ漁師が多いです。
 大きいもので1本4,5Kg、平均1Kgくらいです。
 夏場は定置網でもたくさん獲れます。
 浜値がとても安いので、小型船の漁師は自分たちのおかずにします。
 しいらは、海面の浮遊物に集まる習性があるため、沖合で水死体の下にいることがあります。べつに死体が好きなわけではないのに「死人付き」とか「死人喰らい」とかの別名もあって、縁起が悪いといって、房州ではあまり好まれません。
 でも、その名前とは裏腹に味の良いさかなで、白身で夏場に脂がのっており、我々は大きめのものは刺身で、小さいものは塩干しにして食べます。また、油料理にも合うようで、フライやバター焼き、ハンバーグにしてもおいしいです。
こんなにおいしいんだから商売になるくらいの値段が付いても良いと思うんですが。  

定置網に入ったしいら

わたなべ
 スマのこと。南房総では「わたなべ」,「三つ星」,「えっぱら、あいっぱら」などと呼びます。
 小さくても脂がのってて,とてもおいしい魚ですが,魚屋にはなかなか並びません。あまり大きな群にはならないらしく、定置網や曳縄でぽつぽつ獲れるくらいで、また、足も早いからです。
 ヒラソーダにそっくりですが、胸鰭の下に3つくらい黒い斑点があるのが特徴です。

きつね
 ハガツオのこと。他のかつおに比べて、口先がとんがっているからこう呼ばれます。「方三〈ほうさん〉」とも呼ばれます。
 今年〈平成11年〉は水温が高いせいか,定置網などで、いつもよりたくさん獲れています。
 身が柔らかく,足が早いので地元にしか出回りませんが,新鮮なものの刺身は脂がのっておいしいです。身の色はカツオというよりメジのような薄い桃色です。
 カツオは腹側に縞がありますが,これは背側に縞があり,口には鋭い歯があります。

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