漁師ことば
漁師は普通に使っている言葉でも一般にはわかりずらい言葉を解説します。
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- あいずばま…砂地に岩(根)が点在する海底。ヒラメ、アジなどの漁場。
- あしがいる…大漁のため満船して、船が進む。(沈むくらいの状態)k
- あわせ…合わせ灯台。夜間など視界が悪いときに安全に入港できるように、航路を指示する明かり。上下2つの明かりが重なるように航路をとる。
- いちご…ツメタガイのこと。富津地区での呼び名。あさりを食べる嫌われ者。身は固いが食べられる。これの卵を砂茶碗と呼ぶ。
- いちろくもの…一六もの。漁獲された魚の大きさが、大きいものと小さいものだけで中くらいのが少ないこと。さいころの1と6から。
- いなさ…南東からの 風 。k 南東に開けた外房では最も怖い風。内房は凪る。
- いっぺ…1隻。k 数が増えるに従って、にへー、さんべぇ、よんへぇ…と続く。
- えさもち…餌持ち群。餌となる小魚を追いかけている魚群。春のシラスを食っているカツオは釣りにくい。
- えてば(えってんば)…自分が潜り慣れた場所のこと。「得手・不得手」から変化した言葉。磯根漁業の人が使う。
- おかず…漁獲がほとんどないこと。おかずにするくらいしかとれない。
- おっきゃがり…大漁の時喜んで祝うこと。「まんなおし」の反対。k
- かぶら(かぐら)…ホロともいう。疑似餌の部品。主に曳き縄に使う。夜光貝、海松、牛の角,カジキの角、カバの歯などを材料に各自工夫している。
- かめ…魚倉。漁獲物や餌などを入れておくところ。甲板下にあるもの。
- くちあけ…解禁日。おもに磯根漁業で使う。禁漁区のくちあけなど。
- くま…岩礁と砂地が入り組んだ海底のうち砂地の部分。岩礁の部分は「根」。
- ぐみ…小さい錘の粒が等間隔にたくさん付いた釣り糸。潮が速い漁場での釣りや底層を曳く曳縄で使う。
- こいでしき…漕出式。新年の 最初の出漁日
におこなう儀式。大漁旗を飾り,沖から神様に詣でるのが一般的。
- さかしお…逆潮。外房で,岸から海を見て右に向かって流れる潮。方向により出逆潮,込逆潮などがある。(⇔真潮)
- さめつき…鮫付き。ジンベイザメにカツオなどが群がる状態。k
- サンパク…ブリの成長過程で呼び名。ワカシ→イナダ→サンパク→ワラサ→ブリ。房州だけの呼び方。
- ジーピーエス(GPS)…人工衛星を使って緯度経度を出す装置。カーナビと一緒。
- しおめ…潮目。流れや水温,濁りなどが違う潮同士の境目。回遊魚の漁場になりやすい。
- 潮まつり…潮流が早くて不漁の時、仲間が集まって大漁を願うこと。k
- ショゴ(汐子)…カンパチの子供の呼び名。やわたんまち(八幡神社のお祭り)頃が最盛期。(館山)
- すかんぱ…とも帆。スパンカーが正式。操業中船を風上に向けておくための帆。角度を調節することにより船の流れ方を変えられる。
- せんこうばん…潜行板。曳縄に使い,疑似餌を一定の深さで泳がせたり動きを付けたりする。カツオ用,メジ用,ひらめ用,それぞれ形や動きが違う。
- せ…瀬。水深が浅くなっているところ。九十九里ではサンドバー、外房・南房では大きな岩場、内湾では干潟などを呼ぶ。布良瀬。中ノ瀬。三番瀬
- たな(棚)…海底の岩礁地帯にある海面と平行なくぼみ。アワビやサザエ、イセエビが好んで棲む暗い場所。房総半島南端部の岩礁帯に多い。
- ダンベ…漁港で水揚げした魚を入れるもの。量に応じて500s,1トン入るものが用意されている。
- つの…角。疑似餌の一種。曳き縄に使う弓角、イカ釣りに使うイカ角などがある。
- てっぱつ…大きいこと。k「200sのてっぱつなカジキ」房州弁。
- とったり…1.曳き縄で、竿で船の横に張り出している仕掛けをたぐるための綱。
2.カジキやマグロの延縄で弱っていない獲物があがってきたときに枝縄に付ける長い縄。これをやったりとったりして獲物をあげる。
- とりつき…鳥付き群。鳥が一緒にいる魚群。カツオなどに追われた小魚目当てに鳥が集まる。付いている鳥の群は「
とりやま 」。
- とりやま・とんな…魚群や潮目に付いている鳥の群。ただ飛んだり水面に浮いているだけでなく独特の動きをしているものが漁場の目安。
- ながれもの…海面の漂流物。またはそれに付く魚群。潮目付近に多く漁場の目安。大きなものにはカツオ,キメジなどが集まる。
- なっぱじお…白っぽい緑色に濁った冷たい潮。岸にそって北から下がってくる。
- なぐら・なぶら・なむら…群れ。k 水面にでている魚の群。いろいろな形態がある。魚だけいるのは「すなむら(素群)」
- ならい・なれ…北寄りの風。房州では訛って「なれー」。
- にまいじお・にだんじお…二枚潮・二段潮。海中の浅い所と深い所で流れ方や水温が違う状態。操業に不都合な場合が多い。
- ね…根。海底の岩礁。または岩礁群。好漁場になっている。機械根、真潮根、三枚根など。
- 乗り初め…のんぞめ。年の初めに船にある船神様に御神酒とお供え餅を上げ、豊漁を願う。k
- ばけ…疑似餌の一種。釣り針に錘が付いていて、それに羽根や魚皮を巻き付けたものが一般的。カツオ一本釣りなどに使う。
- ばくだん…曳き縄に使う集魚装置。引っ張ると水をはねて音を出したり、疑似餌に動きをつけたりする。主にメジマグロに使う。
- はね…1.釣り竿のこと。さばのハネ釣り。カツオのハネ(一本釣りの竿)
2.魚が跳ねている状態。はね群。
3.カジキの曳き縄などで、魚が掛かると切れるようになっている糸。ハネ切れ。これが切れるときの衝撃で針が刺さる。「とばし」、「とばせ」ともいう
- ひこうき…曳縄に使う集魚装置。水面をひっかき音を出しさかなを集める。カツオ,マグロなど回遊魚に使う。
- ヒロ…漁師が用いる長さの単位。両手を伸ばした長さで,人によって多少変わるが,約1.5m。
縄,釣り糸の長さはこれで測るし,水深もこれを用いている。
- まあまあ…漁師の表現は控え目である。かなりの好漁でも「まあまあだね。」
- まいわい…万祝い。昔、大漁の時に船方が乗り子たちに配った半纏のような上着。最近はお祝いの時に贈ったりする。
- ましお…真潮。外房で,岸から海を見て左に向かって流れる潮。方向により出真潮,込真潮などがある。(⇔逆潮)
- まづめ・まずみ…夜明けや日没前後の暗い時間。魚などの活動が活発になる。
- まんが…主に砂や泥底で貝類を捕るための漁具。貝桁や腰巻き、大巻きで使用する。
- まんなおし…他の人より漁がなかったとき心機一転してまきなおすこと。「おっきゃがり」の反対。k
- みずもち…水持ち群。なぶらの一種。魚群に押されて水面が盛り上がったように見えるもの。
- もじ…船のプロペラの泡。船の後ろに航跡となって現れるが。曳き縄で、カツオやキメジはこれを気にしないが、ブリなどは気にするので、縄を長く出す。
- もやい…船と船を離れないようにつなぐ。(もやい綱−縛る綱)k
- やま…1.漁場の目標物。
2.ヤナともいう。道糸のこと
- やまたて(山立て)…陸の目標物を見て海上での位置を知る方法(⇔GPS)
- よごれ…魚群探知機の反応で薄いシミのようにでるもの。
- ロラン…決まった場所からの電波の到達時間差から位置を出す装置。
- わたなべ…スマガツオのこと。何でだろう。「えっぱら」などともいう。