延縄(はえなわ)漁業

延縄とは,餌をつけた縄をつなげて,横にずうっと張っていき,魚を獲る漁業。
南房総の漁師は,冬場カジキを獲るために操業しています(イラストでは上にかけてあるのがカジキ用,海底近くのはヒラメ,コチなど用のものです)。

カジキへ

かじき延縄 (酒井光弘 ほか)

獲れる魚:かじき(マカジキ,メカジキなど)
     まぐろ(メバチマグロ,クロマグロなど)
獲る時期:10〜3月頃(盛んなのは12〜2月)
獲れる場所:房総沖〜伊豆諸島の方まで

 餌は活きたサバ。朝5時頃出港し,まずサバを釣ります。1隻が1回に使うサバは200〜300尾。
 カジキは黒潮が流れている付近が好漁場となります。近くて港から15マイル(24q),遠いときには港から100マイル(161q)の沖で操業することもあります。
 千葉でかじき延縄をやっている船は60〜70隻。1マイル(1.6q)間隔に船が並んで沖に向かって縄を張っていきます。1隻の船が張る延縄の長さは15〜20qにもなります(写真は船に積んだカジキ縄の道具)。これで昼過ぎになる。
 それから縄を揚げていきます。カジキの大きさは1尾,30sから大きいもので70sなんていうのも獲れることもあります。バチやホンマグロがかかれば最高です。
 全部終わって帰るのは夜中になることがしばしば。凪が続くと体をこわしそうになります。今年(平成9年)の1月は5日連続で操業したんだけどさすがに疲れました。でも当たると大きいのがカジキ縄です。

縄の端に付けるブイ


海上で見つけやすいよう,灯りや電波発信装置が付いたブイを使う。(ラジオブイと呼んでいます)

縄揚げ機と釣り揚げ機


左の縄揚げ機(ラインホーラーと呼びます)で縄を回収していき,魚が掛かっていたときには右の釣り揚げ機釣り上げ機で引き揚げる。
カジキなら手で揚げるんだけど,大きいマグロがかかったときにはこれが発揮します。以前は手で揚げていたけど,大きいものはとても揚がりません。機械を使いながら長くて3時間もかけて揚げていきます。イカ釣り機と構造はいっしょ。

カジキの秘密兵器(ミサイル)

せっかく魚がかかっても針がはずれて逃げられるのはとても悔しい。特に大物は揚げ損なうことがおおい。そこで登場するのがミサイル。大きいのがかかったときには道糸からこれを落とします。すると頭にこれががっちりと食らいついて逃がす心配がありません。

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