第2回安房南高校調理実習指導
|
最近は魚のさばき方、食べ方を知らない子が多い、魚に触れたことがない、魚の名前も知らないという話をよく聞きます。そこで千葉の魚を料理して食べてもらおう、地元には美味しい魚がたくさんいるということを知ってもらうため、平成13年度から館山市内の安房南高校(女子校)にて調理実習指導を行いました。 昨年、館山船形漁協青年部が「市内の高校で調理実習の指導をやってみたい」と申し出があり、漁業士会館山支部の事務局でもある館山水産事務所が安房南高校へ打診、学校も快諾し、館山船形青年部と漁業士会館山支部、漁協婦人部などで実施しました。好評だったことから平成14年度も第2回として実施しました。今年は普通科の2年生151人を対象としました。 |
1日目は漁業士会館山支部から今井正雄支部長さん(鋸南町勝山漁協)、佐藤光男さん(房州ちくら漁協)、庄司真敏さん(和田町漁協)の3名と、鋸南町勝山漁協からは一本釣りを営んでる須藤さん、婦人部の六原部長さん、鈴木副部長さん、今井さん(今井支部長の奥さん)、平島さん(漁業士の平島孝一郎さんの奥さん)、房州ちくら漁協からは白子瀬戸支所の東條さん、和田町漁協からは婦人部の杉山さん、樋口さんが出席、11名に講師をつとめてもらいました。 | ||
最初に3kgのマダイの3枚おろしの実演を行いました。この日は鋸南町勝山漁協の須藤さんが実演指導。普段大きな魚を目の前で捌くのを見る機会がほとんどない生徒達はびっくりしつつも真剣に興味深く見ていました。 また千葉県の魚がタイであること、今日用意したマダイは勝山の養殖マダイで、マアジは勝山の定置で獲れたということを今井支部長が説明しました。 |
||
今度は生徒達がそれぞれ班についた講師と一緒にマアジを捌きました。初めて魚を触る生徒も多く、包丁の持ち方もぎこちなかったのですが、何匹も捌くうちにどんどん上達、講師がびっくりするくらいでした。 | ||
左はマアジの刺身とマダイの湯引きです。中には初めてなのにきれいに盛りつけている生徒もいました。 右はつみれ汁。マアジを三枚に下ろして細かく切り、みそ、ショウガ、タマネギを入れたたき、すり鉢で擂りながら卵や片栗粉を入れて団子にしました。それぞれ家庭の味でと講師の方にはお願いしていましたので、それそれの班でちがう味付けになり、「家のつみれ汁より美味しい!」と言っている生徒もいました。 |
||
調理が終わった班から講師と一緒に試食を行いました。魚嫌いという生徒もいましたが、食べたらとても美味しい、家に帰って作ってみたいという声が多く、講師のみなさんも喜んでいました。 この日の実習模様は読売新聞の千葉版に掲載されました。 |
2日目は漁業士会館山支部から渕辺重房さん、石井智晃さん(白浜町漁協)の2名、白浜町漁協あわび増殖研究グループから森さん、星野さん、秋山さんの3名、名倉で渕辺さんや石井さんと一緒に海士を営んでいる三富さん、漁協から石井さん、白浜町食の普及員の山口さん、林さん、早川さんが出席、10名が講師を務めました。 | ||
初日と同様にマダイの3枚おろしの実演から行いました。この日は三富さんが実演指導しました。 その後それぞれの班で調理実習を開始。家でもやっている生徒もいましたが大半は初めて魚に触る生徒もおり、講師の方々は丁寧に包丁の持ち方、魚の捌き方を教えながら楽しく調理を行いました。 |
||
煮付けの下ごしらえのやり方が頭から手で内臓、皮まで剥く班もあれば内臓とゼイゴだけ取る班など様々で生徒達はやりやすい方法でやっていました。手で魚を捌く方が早いということを知った生徒もいて、もっと捌いてみたいという声もありました。 盛りつけもきれいで美味しそうに試食していました。 この日の実習模様は地元の房日新聞に掲載されました |
3日目は漁業士会から金高重雄さん、伊藤正巳さん(天津小湊町)、佐藤光男さん(房州ちくら漁協)の3名、西岬(にしざき)漁協伊戸支所からは内川さん(海士)、同婦人部の海老原さん、吉田さん、黒川さん、飯沼さん、保坂さんの5名、計9名に講師を務めていただきました。 |
||
マダイの3枚おろしは金高さんが行いました。鮮やかで丁寧な包丁さばきで綺麗に捌かれていくマダイを見て、生徒からは「綺麗な身だ」「おいしそう」という声があちらこちらで上がりました。頭やカマ、腹身などのアラの食べ方などを説明したところ、家で作ってみたいという声も。 | ||
各班に分かれて早速実習開始。中にはお父さんが釣り好きで魚料理が好きという生徒もいました。みんなぎこちない手つきながらもきちんと捌いていました。煮魚では調味料を入れて火をかけて沸騰してから魚を入れる、煮始めたら火を弱めるとまずくなるので強火で一気に煮るなどを教えました。家ではなかなか教わることもないので勉強になったと思います。 | ||
出来上がった料理は講師の皆さんと一緒に美味しく食べました。魚の食べ方が上手な子が多く、また用意した魚は全部残さず食べました。これからも家で魚をどんどん食べてほしいです。 |
4日目は館山船形漁協の青年部が指導を行いました。 昨年から始まった安房南高校の調理実習指導を企画したのは館山船形漁協青年部の皆さんで、全生徒を教えるのは人数的に難しいと言うこともあり漁業士会館山支部と共催して、今年2回目を迎えました。 この日集まってくださったのは青年部長の島田さん(現在は青年部顧問)、鈴木久雄さんと奥さんの加代子さん、仲山さん、田中さん、鈴木ただひろさん、羽山さんの7名と漁業士の庄司正さんと奥さんの成子さんを合わせた9名、そして漁業士会館山支部長の今井正雄さんに講師を務めていただきました。 |
||
マダイの3枚おろしは鈴木加代子さんが行いました。旦那さんである鈴木久夫さんは寅丸というカツオの餌となるイワシを専門に獲っている巻き網を営んでおり、加代子さんは日頃から獲れたての魚を使った料理を沢山作って子供達に食べさせているそうです。マダイを捌いている姿は豪快で、捌き終わった後生徒達から「カッコイイ!」と拍手が起こるほどでした。南高高校は加代子さんや庄司成子さんの母校ということもあり、熱心に後輩である生徒に教えていました。 この日は今井支部長も調理実習に参加しました。 |
||
皆さん、昨年も講師をつとめたので教え方が上手でした。1匹手本に捌いたあと生徒にやらせるようにして、魚を捌くのは難しくはないということを話していました。 この日はNHKが取材に来て、生徒も講師も緊張しながら料理をしていました。(この模様は翌日夕方に関東地方のローカルニュースで放映されました) |
||
青年部の方々から今年水揚げが始まったばかりの大きなカツオ(8kg!)を提供していただき、アジ、マダイ、カツオの刺身盛り合わせ、つみれ汁、煮魚が机に並びました。生徒も自分で作った魚料理に舌鼓をうち、大盛況のうちに4日間に渡る調理実習指導が終わりました。協力していただいた皆さん、お疲れさまでした。 海に面した地に住んで、地の魚をどんどん食べてもらうのはもちろん、丸ごと一匹の魚を捌いて美味しい料理を作って、漁業を身近に感じてほしいと願っています。 今後は女子校だけではなく他の高校などでも開催してみたいという声が上がっています。来年度も漁業士会の行事として続けていきたいと考えています。 |